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東京地方裁判所 平成元年(特わ)296号 判決 1989年8月23日

本籍

佐賀県神埼郡神埼町大字本告牟田七三二番地

住居

東京都大田区池上六丁目三九番一五号

コスモ池上エクセラ三〇一号

会社役員

石井普雄

大正七年七月二九日生

本店所在地

東京都文京区湯島三丁目三九番一〇号

株式会社イー・エス・ピー

(右代表者代表取締役 石井普雄)

本店所在地

東京都江東区亀戸七丁目五九番八号

有限会社イー・エス・ピー科学研究所

(右代表者代表取締役 石井普雄)

右石井普雄に対する所得税法違反及び法人税法違反、株式会社イー・エス・ピー、有限会社イー・エス・ピー科学研究所に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官渡辺咲子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人石井普雄を懲役二年六月及び罰金二六〇〇万円に、被告人株式会社イー・エス・ピーを罰金三〇〇〇万円に、被告人有限会社イー・エス・ピー科学研究所を罰金二五〇〇万円に処する。

被告人石井普雄において、右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人石井普雄を労役場に留置する。

被告人石井普雄に対し、この裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人石井普雄(以下、被告人という。)は、神奈川県川崎市中原区小杉町一丁目四〇三番地一〇サニーウェル小杉六〇二に居住し、「ESP科学研究所」の名称で念力伝授、念力導入、健康管理器具の販売等を営んでいたもの、被告人株式会社イー・エス・ピー(以下、被告株式会社という。)は、東京都文京区湯島三丁目三九番一〇号に本店を置き(昭和六一年二月七日以前は東京都江東区亀戸八丁目二三番二号に本店を置く。)、健康管理器具の開発及び販売等を目的とする資本金三〇〇〇万円(昭和六〇年八月二六日以前の資本金は、二五〇万円、昭和六二年五月一八日以前の資本金は、一〇〇〇万円である。)の株式会社、被告人有限会社イー・エス・ピー科学研究所(以下、被告有限会社という。)は、東京都江東区亀戸七丁目五九番八号に本店を置き(昭和六一年四月六日以前は神奈川県川崎市中原区小杉町一丁目四〇三番地一〇に本店を置く。)、健康管理器具の研究開発及び応用等を目的とする有限会社であり、被告人において右被告株式会社及び被告有限会社の代表取締役として両会社の業務全般を総括していたものであるが、

第一  被告人は、自己の所得税を免れようと企て、念力伝授料、念力導入料、友の会会費等の収入の一部を除外し、これらを預金した利息を除外する等の方法により所得を秘匿した上

一  昭和五九年分の実際総所得金額が一億三九〇一万三七一一円あった(別紙1修正損益計算書参照)にもかかわらず、昭和六〇年三月一四日、神奈川県川崎市高津区溝ノ口四〇六番地(昭和六〇年一二月二四日からは同市高津区久本二六九の一)所在の所轄川崎北税務署において、同税務署長に対し、昭和五九年分の総所得金額が一一一九万四六三四円であり、これに対する所得税額は、四八万九八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成元年押第四五二号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告人の右年分の源泉徴収税額を控除した正規の申告所得税額八二五八万一一〇〇円と右申告税額との差額八二〇九万一三〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れ

二  昭和六〇年分の実際総所得金額が六四二一万五八六〇円あった(別紙3修正損益計算書参照)にもかかわらず、昭和六一年三月一五日、前記川崎北税務署において、同税務署長に対し、昭和六〇年分の総所得金額が二四〇九万六四〇〇円であり、これに対する所得税額は一四〇万五四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成元年押第四五二号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告人の右年分の源泉徴収税額を控除した正規の申告所得税額二一一八万六〇〇〇円と右申告税額との差額一九七八万〇六〇〇円(別紙4脱税額計算書参照)を免れ

第二  被告人は、被告株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、東京本社、福岡支社念力導入商品の売上、定期預金等の利息収入の一部を除外する等の方法により、所得を秘匿した上

一  昭和五八年一二月一日から昭和五九年一一月三〇日までの事業年度における被告株式会社の実際所得金額が二億一二六五万五〇一五円あった(別紙5修正損益計算書参照)にもかかわらず、昭和六〇年一月三一日、東京都江東区亀戸二丁目一七番八号所在の所轄江東東税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億〇五四六万四六二一円であり、これに対する法人税額が四四四一万五五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成元年押第四五二号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告株式会社の右事業年度における正規の申告法人税額九〇八二万五五〇〇円と右申告税額との差額四六四一万円(別紙6脱税額計算書参照)を免れ

二  昭和五九年一二月一日から昭和六〇年一一月三〇日までの事業年度における被告株式会社の実際所得金額が四億七九七九万六六四〇円あった(別紙7修正損益計算書参照)にもかかわらず、昭和六一年一月三一日、前記江東東税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三億二〇〇九万二九七六円であり、これに対する法人税額が一億三五四三万七六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成元年押第四五二号の4)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告株式会社の右事業年度における正規の申告法人税額二億〇四五八万六二〇〇円と右申告税額との差額六九一四万八六〇〇円(別紙8脱税額計算書参照)を免れ

第三  被告人は、被告有限会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、念力伝授料、念力導入料、定期預金等の利息収入の一部を除外し、友の会会費収入等を除外する等の方法により所得を秘匿した上

一  昭和六〇年二月一九日から昭和六一年一月三一日までの事業年度における被告有限会社の実際所得金額が一億九九五七万八四六〇円あった(別紙9修正損益計算書参照)にもかかわらず、昭和六一年三月三一日、前記第一の一の川崎北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が九二八〇万一八八二円であり、これに対する法人税額が三八七九万四一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成元年押第四五二号の5)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告有限会社の右事業年度における正規の申告法人税額八五〇二万三〇〇〇円と右申告税額との差額四六二二万八九〇〇円(別紙10脱税額計算書参照)を免れ

二  昭和六一年二月一日から昭和六二年一月三一日までの事業年度における被告有限会社の実際所得金額が二億五六五二万二〇〇〇円あった(別紙11修正損益計算書参照)にもかかわらず、昭和六二年三月三〇日、前記第二の一の江東東税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億四三三三万二六一八円であり、これに対する法人税額が六〇二八万五六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成元年押第四五二号の6)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告有限会社の右事業年度における正規の申告法人税額一億〇九二九万三九〇〇円と右申告税額との差額四九〇〇万八三〇〇円(別紙12脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書四通

一  石井美津子の検察官に対する供述調書

一  収税官吏作成の受取利息の調査書

判示第一の各事実につき

一  収税官吏作成の被告人についての念力伝授料、念力導入料、友の会会費収入、施療代収入、指導員年会費、利子収入の調査書

判示第一の各事実、第三の一の事実につき

一  検察事務官作成の電話聴取書

判示第一の一の事実につき

一  押収してある被告人の昭和五九年分所得税確定申告書一袋(平成元年押第四五二号の1)

判示第一の二の事実につき

一  収税官吏作成の被告人についての給与収入、給与所得控除額の調査書

一  押収してある被告人の昭和六〇年分所得税確定申告書一袋(平成元年押第四五二号の2)

判示第二の各事実につき

一  渡辺惠の検察官に対する平成元年三月一日付供述調書

一  収税官吏作成の被告株式会社についての商品売上、商品仕入、受取利息、事業税認定損の調査書

一  登記官作成の被告株式会社の登記簿謄本

判示第二の一の事実につき

一  押収してある被告株式会社の昭和五九年一一月期分法人税確定申告書一袋(平成元年押第四五二号の3)

判示第二の二の事実につき

一  収税官吏作成の被告株式会社についての給料、旅費交通費、福利厚生費、交際接待費、役員賞与損金不算入額、交際接待費限度超過額の調査書

一  押収してある被告株式会社の昭和六〇年一一期分法人税確定申告書一袋(平成元年押第四五二号の4)

判示第三の各事実につき

一  渡辺惠の検察官に対する平成元年三月二日付供述調書

一  収税官吏作成の被告有限会社についての売上、会費収入、支払紹介料の調査書

一  登記官作成の被告有限会社の登記簿謄本

判示第三の一の事実につき

一  押収してある被告有限会社の昭和六一年一月期分法人税確定申告書一袋(平成元年押第四五二号の5)

判示第三の二の事実につき

一  収税官吏作成の被告有限会社についての給料、会議費、事業税認定損の調査書

一  押収してある被告有限会社の昭和六二年一月期分法人税確定申告書一袋(平成元年押第四五二号の6)

(法令の適用)

罰条

判示第一の一、二

被告人 所得税法二三八条一項、情状により二項

判示第二の一、二

被告人 法人税法一五九条一項

被告株式会社 法人税法一六四条一項、一五九条一項、情状により二項

判示第三の一、二

被告人 法人税法一五九条一項

被告有限会社 法人税法一六四条一項、一五九条一項、情状により二項

刑種の選択

判示第一の一、二 被告人 懲役刑と罰金刑の併科

判示第二の一、二 被告人 懲役刑選択

判示第三の一、二 被告人 懲役刑選択

併合加重

被告人 刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の一の罪の刑に加重)、罰金刑につき同法四八条二項

被告株式会社 被告有限会社

各刑法四五条前段、四八条二項

労役場留置 被告人 刑法一八条

執行猶予 被告人 刑法二五条一項(懲役刑につき)

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 被告人 懲役二年六月及び罰金三〇〇〇万円 被告株式会社 罰金三五〇〇万円 被告有限会社 罰金三〇〇〇万円)

(裁判官 柴田秀樹)

別紙1

修正損益計算書

石井普雄

自 昭和59年1月1日

至 昭和59年12月31日

<省略>

別紙2

脱税額計算書

昭和59年分 石井普雄

<省略>

別紙3

修正損益計算書

石井普雄

自 昭和60年1月1日

至 昭和60年12月31日

<省略>

別紙4

脱税額計算書

昭和60年分 石井普雄

<省略>

別紙5

修正損益計算書

(株)イー・エス・ピー

自 昭和58年12月1日

至 昭和59年11月30日

<省略>

別紙6

脱税額計算書

(株)イー・エス・ピー

自 昭和58年12月1日

至 昭和59年11月30日

<省略>

別紙7

修正損益計算書

(株)イー・エス・ピー

自 昭和59年12月1日

至 昭和60年11月30日

<省略>

別紙8

脱税額計算書

(株)イー・エス・ピー

自 昭和59年12月1日

至 昭和60年11月30日

<省略>

別紙9

修正損益計算書

(有)イー・エス・ピー科学研究所

自 昭和60年2月19日

至 昭和61年1月31日

<省略>

別紙10

脱税額計算書

(有)イー・エス・ピー科学研究所

自 昭和60年2月19日

至 昭和61年1月31日

<省略>

別紙11

修正損益計算書

(有)イー・エス・ピー科学研究所

自 昭和61年2月1日

至 昭和62年1月31日

<省略>

別紙12

脱税額計算書

(有)イー・エス・ピー科学研究所

自 昭和61年2月1日

至 昭和62年1月31日

<省略>

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